車載無線放送の強制設置へ?工業情報化省の新基準策定計画

工業情報化省は9月18日、「車載無線放送受信システム」に関する強制国家基準の改訂計画を発表し、意見を募っています。

スマートカーの普及に伴い、無線放送は車載ディスプレイに取って代わられつつあります。特に近年では、多くの中国の新エネルギー車に大型ディスプレイが標準装備され、その普及率は世界平均を超えています。しかし、車載システムがよりスマートになる一方で、一部の車種ではラジオ機能、つまり無線放送受信モジュールが搭載されなくなっていることが明らかになっています。

一部のメーカーが無線放送を廃止する理由の一つとして、車内が「第3の生活空間」、すなわち居住空間や職場に次ぐ場となりつつあることが挙げられます。車載オーディオコンテンツは、気軽に楽しめる商業化されたコンテンツへとシフトしており、公式ラジオ番組は公式テレビ番組と同様、消費者にとってあまり魅力的ではないようです。実際、多くの消費者が車内でラジオを利用したことがないという状況は、権威ある情報への興味の低下を反映しているといえるでしょう。

しかし、車載無線放送は、地震や洪水などの自然災害時に緊急情報を迅速に伝えるため、運転者や乗客にリアルタイムで重要な安全情報を提供できるという独自の利点を持っています。特にセルラー基地局が損傷した際、無線放送が重要な役割を果たします。無線放送のカバー範囲はセルラーネットワークをはるかに上回り、車両が引き続き情報を受信し、運転の安全を確保することができます。

2023年、国家ラジオテレビ総局などの3省庁は共同で通知を発表し、国産車や輸入車に無線放送受信モジュールの搭載を推進しました。そして今年5月、無線放送を車両の基本装備とすべきだと提言がありました。

業界の専門家は、「スマートカーはネットワークインフラに依存しており、突発的な状況に直面すると脆弱性が顕著になりますが、無線放送は緊急時の重要なツールとして、ユーザーに多様な情報源を提供し、安全を確保する役割を果たします」と述べています。

国際的には、EUや米国などですでに関連基準が導入されており、今回の中国の基準改正は、国内自動車業界の災害対応能力を向上させるものとなります。

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