中国、L2の運転支援の強制国家標準を本格策定――誇大宣伝に歯止め、国際整合性も視野に

6月4日、中国の「全国標準情報公共サービスプラットフォーム」は、「智能网联汽车组合驾驶辅助系统安全要求」(インテリジェント・コネクテッドカー複合運転支援システムの安全要件)に関する強制的国家標準制定プロジェクトの立案に対する意見募集通知を発表しました。すでに昨年12月には、工業情報化省がこの国家標準計画プロジェクトの立案申請について公告しており、今回の再公告は、同標準の制定作業が着実に進展していることを示しています。

この標準は工業情報化省が提案し、全国自動車標準化技術委員会のインテリジェント・コネクテッドカー分科会により実施され、プロジェクト期間は22ヶ月を予定しています。起草機関にはCATARC(中国汽車技術研究中心)、東風汽車、ファーウェイなどが名を連ねています。

現行の国家標準「GB/T 40429-2021」によると、「複合運転支援」システム(レベル2の自動運転)は、設定された走行条件下で車両の縦方向および横方向の制御を継続的に行い、一定の環境認識と反応能力を備えています。乗連会(全国乗用車市場信息連席会)のデータによると、2023年の新エネルギー乗用車のうち、L2以上の運転支援システムを搭載した車両の割合は55.3%に達しました。

しかし近年、L2レベルの運転支援技術が急速に普及する中、多くの自動車メーカーが市場シェアの確保を狙い、技術の先進性を強調しながら、「複合運転支援」機能を「自動運転」と誤認させるような宣伝を行い、消費者をミスリードし、重大な交通事故を引き起こす事例も発生しています。

これに対し、工業情報化省は、強制的な国家標準を通じて、システムの機能範囲や性能要件を明確化し、システムの欠陥による事故を減少させ、道路交通の安全レベル向上を図る方針です。また、この標準は監督管理の技術的根拠としても機能し、業界の健全な発展を促すとしています。

この標準は、「複合運転支援」システムを搭載するMおよびNカテゴリーの自動車に適用され、システム制御能力、ドライバー状態監視、システム限界の認識と対応、安全性、試験方法などの内容を規定し、審査要件も明示しています。

特に注目すべきは、この標準が国際基準との整合性を重視している点です。標準の不一致により、輸出時に企業が設計変更を強いられ多額のコストを負担する問題がありました。例えば、ある中国メーカーが欧州市場へ進出した際には、現地の基準との違いから大規模な製品改造を余儀なくされ、コストと時間の両面で大きな負担となったといいます。今後は、標準の国際調和が進むことで、こうした課題の回避が期待されています。

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