蔚来(NIO)、ES8在庫の悩み
生産能力の不足から在庫積み上がりに至るまで、この極端な変化は蔚来(以下はNIO)にとって「非常に悩ましい」ことだ。
北京の東南第五環状線の外側に位置する栄华西五路の東西両側の空き地には、約120台のNIO主力モデルES8が置かれているが、9月のNIOの販売台数は、前年同月比86%減の293台にとどまった。
これほど多くのES8がなぜここに置かれているか。メディアはES8が放置されている場所に最も近いNIO亦荘配送センターに訪ねた。
配送センターの担当者によると、これらの車両は販売を待っている「在庫車」だ。しかしNIOは、北京は、東北3省、山東省、山西省、内モンゴル自治区の物流ハブであるため、配送を待つ一部の車両がここに置かれているほか、試運転、展示、会員用車なども含むと「在庫説」を否定した。
ES8発売後、しばらくの間、NIOは「生産能力不足が納車に影響を与えている」との見方を示した。しかし今、彼らを悩ませているのは在庫かもしれない。
配送センターのスタッフによると、同社は現在、北京で1日に約20台の新車を納車しており、その大部分はES6となっている。北京市中心部の東方広場にあるNIO HOUSEのスタッフも、現時点でES6の販売台数はES8の2-3倍になっているとの見方を示した。「ES6を見て、誰がES8を買うの?」と、これまでNIOのことをよく知らなかったユーザーの1人はES8とES6の展示車を見比べた後、このように話した。
すべての兆候は一つの事実を示しているようだ。ES8はもう売れない。
NIOの販売データによると、今年第3四半期(7-9月)の新車販売台数は前年同期比47%増の4799台だった。ただ、新車4799台のうちES8は603台のみ。残りの4196台はいずれもNIOの新モデルES6で、全体の87.4%を占めた。
ES6はNIOの2車種目の量産車で、昨年末に発売され、今年6月に正式に納車を開始した。 この5シートの多目的スポーツ車(SUV)は510㎞の総合航続距離を誇り、0-100km/h加速所要時間は4.7秒で、販売価格は35万8000元となる。これに対してES8は、0-100km/h加速所要時間は4.4秒とES6を上回るも、44万8000元の販売価格、425㎞の総合航続距離はいずれもES6に劣る。
ES6については、サイズこそES8より小さいが、ES8より安価で、製品力や実体験が優れていると言えよう。販売台数においても優れたパフォーマンスを発揮している。これでNIOは「共食い」の状況に追い込まれている。データを見ると、今年第2四半期にES6の出荷が開始された直後からES8の販売台数が大きく落ち込んでいることがわかる。
ES8在庫問題の背後には、EVベンチャー全体の「技術の交替が速すぎ」というジレンマが映っている。今年7月、同じEVベンチャーの代表格である小鵬汽車は2020モデルのG3を発売した後、旧式モデルを購入したユーザーから権利擁護の訴えを受けた。ユーザーたちは、「新モデルは航続距離が長く、価格も低い。先に旧式を買った自分がだまされた」と主張した。
一連の騒ぎの影響かもしれないが、 理想汽車は10月15日に、すべての予約ユーザーに対して2020モデルを提供し、すでに生産された少量の2019モデルについては、内部消化で消化すると発表した。これは、2019モデルの理想ONEを予約したユーザーに、無料で2020モデルにアップグレードし、購入後のアップグレードで起こりそうな手間や面倒を省く狙いだ。