Li Auto衝突テスト騒動、三社共同声明で幕引き狙うも 火消し姿勢に広がる不信と批判

8月6日、Li Auto(理想汽車)、CATARC(中国汽研)、東風柳汽の三者は、連名による共同声明を発表しました。
発端となったのは、Li Autoがi8の発表会で、同車と乗龍(Chenglong)ブランドのトラックとの衝突テスト映像を公開したことです。この映像が公開されるや否や、東風柳汽の子会社である乗龍トラックは世論の渦中に巻き込まれ、その安全性に対する疑念が相次ぎました。同時に、このテスト結果そのものの公正性についても疑問の声が上がるようになりました。
実際のところ、乗用車と大型トラックが正面衝突した場合、通常は乗用車の損傷のほうが大きくなるものであり、今回のようにトラックの損傷が大きいというのは極めて稀で、常識にも反しています。このため、Li Autoが自社に有利な条件を意図的に設定してテストを実施したのではないか、という疑念が浮上しています。
第三者検査機関であるCATARCの公信力も、今回の件を受けて問われることとなりました。CATARCは国有の中央直轄企業として一定の権威を有していますが、世論では今回の試験運用プロセスに重大な管理ミスがあったと見られています。例えば、テスト前にその内容について明確な説明がなされておらず、トラックは単なる「可動式の壁」として扱われたこと、またテスト後にも詳細なデータが速やかに公開されなかったことなどが挙げられ、情報の非対称性が問題視されています。
さらに注目を集めたのは、CATARCがテスト後「テストに使用したトラックは市場でランダムに購入した中古車である」と説明した一方で、乗龍側はその車両の状態が公表されていないと指摘している点です。このことが、さらなる憶測を呼ぶ結果となりました。
三者共同声明の中で、Li Autoは「今回のテストの目的は、i8の受動的安全性能の検証および向上であり、他ブランド車の安全性や品質を否定する意図は一切ない」と説明しました。
CATARCは「情報公開が不十分であったことで、予見可能だったリスクを回避できなかった」として、管理上の不備について謝罪しました。
東風柳汽は、「不正な競争行為を断固として拒否し、法令順守と誠実な経営を堅持するとともに、中国が『自動車大国』から『自動車強国』へと飛躍するために力を尽くす」と述べました。
この三者声明に対して、多くのネットユーザーがさまざまな意見を寄せています。
あるユーザーは「これは明らかに和解声明だ。間違っている側は非を認めず、間違っていない側が、きれいごとを並べて場を収めようとしている。裏でどんな取引があったのかは分からないが、これで一件落着ということなのだろう」と冷ややかな見方を示しました。
また、「まったく怒らなかった乗龍トラックは、その品質が本当にテスト結果のようにひどかった可能性も否定できない」とする声も見受けられました。
さらには、「この結末はまるで、泥棒がその場で盗みを見つかっても恥じることなく、むしろ堂々と『みんな、盗みはやめましょう!』と叫んで拍手を求めているようなものだ」と皮肉交じりの意見もありました。