NIO、バッテリー交換の生涯無料特典を廃止
NIOは6月12日に、新車の値下げと初代オーナー特典の変更を発表し、これが業界で大きな話題となっている。
販売価格は、NIOブランドのすべてのモデルに対して一律に30,000元引きとなっている。
新車を購入した初代オーナー向けの特典は、これまでの(月4回までの)生涯無料のバッテリー交換、10年間距離制限なしの完成車品質保証、生涯無料のコネクテッドサービスと生涯無料のロードサービスの3つの特典から、6年間の15万キロ完成車品質保証(3電システムは10年間保証)および6年間の無料のコネクテッドサービス提供と生涯無料のロードサービスに変更された。
すでに購入済みのユーザーについては、初代オーナー特典は変わらないが、新車を買い替えする際に、元車両の特典を新車に引き継ぐか、元車両の特典を放棄するかを選択することができる。後者を選択した場合は、30,000-50,000元の購入代金控除を受けることができる。
6月12日以降は生涯無料のバッテリー交換特典はなくなるが、NIOはその後、柔軟な電力補給サービスプランを発表する予定である。
NIOは新エネ車市場に最も早く参入したメーカーの1つとして、先発優位性により新エネ車ハイエンド市場のシェアを急速に獲得し、一時はベンチャー系新興勢力の先頭に立った。
しかし、現在は多くの新エネ車ハイエンドブランドが参入し、限られたハイエンド市場でのシェア争いが激化しており、NIOの存在感が薄くなり、初期のNIOの優位性が失われつつある。先発優位性は消え、NIOが重視している「ユーザー本位の極上サービス」にも課題が生じている。
バッテリー交換はNIOの看板サービスであり、NIOの「ユーザー本位の極上サービス」の中でも最も重要な要素であるが、大きな潜在的なリスクを抱えている。
まず、NIOはバッテリー交換サービスのために莫大な投資を行っている。また、ユーザー数が増えれば増えるほど、NIOのスタッフは1人で数百人または千人以上のユーザーにサービスを提供する必要がある。こうした需要と供給のバランスの崩れは、NIOの「ユーザー本位の極上サービス」を継続することを困難にする。資金や人員の制約により、NIOは長期的に無料のバッテリー交換を提供することが難しくなっている。コストを節約するために、NIOはバッテリー交換の生涯無料特典を廃止するしかない。
2022年の決算報告によれば、NIOの純損失は144.37億元に達し、前年同期比で259.4%拡大し、同じベンチャー系新興勢力の理想汽車の20億元の損失に比べて7倍以上増加した。販売台数あたりの利益を計算すると、NIOは新車1台を販売するごとに11.7万元の損失を出しており、「売れば売るほど赤字が増える」という困った事態に直面している。
さらに困ったことに、NIOの販売台数は拡大どころか減少している。今年5月のNIOの新車販売台数は6,155台で、3ヵ月連続で前月比で減少した。NIOの予測によれば、第2四半期の納車台数は約23,000-25,000台程度であり、第1四半期に比べて19.5-25.9%減少する見込みである。
市場からの圧力に直面し、NIOは新車価格と初代オーナー特典を見直さざるを得ない状況にある。しかし、それによってNIOが「ユーザー本位の極上サービス」を基盤として築いてきたマーケティングシステムも崩れてしまうことになる。