中国、EUとのEV関税交渉が難航か──商務省の豚肉調査延長が示唆

ロイターが6月10日に報じたところによりますと、中国は電気自動車(EV)の関税交渉が続く中、EU産豚肉の輸入に関する判断を先送りにしました。

報道によれば、中国は10日(火)、注目を集めていた欧州産豚肉に対する反ダンピング調査の期間を6ヶ月延長すると発表しました。これは、当初の調査終了予定日より数日早いタイミングでの発表となりました。この決定は、ブリュッセルと北京の交渉代表が、EUによる中国製EVへの関税措置について合意に向けた交渉を行っている最中に出されたものです。

この調査は昨年6月に始まり、EUによるEV関税への報復措置と広く受け止められています。ロイターによりますと、20億ドルを超える欧州産豚肉の輸出に影響を及ぼしています。EUが中国に輸出している豚肉の多くは、豚耳、豚鼻、豚足といった内臓であり、中国料理において非常に重要な食材とされています。これらの部位は他の国々ではあまり需要がなく、主に中国向けに輸出されています。2024年、中国は48億ドル相当の豚肉(内臓を含む)を輸入しており、そのうち約半分がEUからです。なかでもスペインがEU内で最大の輸出国となっています。

6月10日の中国政府の決定は、EV輸入に関する中欧間の交渉に対する不満の表明と受け止められています。中国商務省は、豚肉やブランデーの輸入制限を強めることで、圧力を加えようとしていることが明らかです。

では、EUはEV輸入の件で大幅な譲歩をするのでしょうか。──それはあり得ません。なぜなら、EUの中心であるドイツが大幅な譲歩をすれば、ドイツの産業そのものが崩壊しかねないからです。しかも、中国の制裁はドイツにはほとんど影響せず、主に被害を受けるのはスペインです。

興味深いのは、スペインでは現在、左派政権が与党であり、中国政府との関係も良好だという点です。しかし、いかに関係が良好であっても、中国が自国の利益を優先する以上、スペインを「生贄」にするのは避けられません。このニュースが示しているのは、EVをめぐる中欧間の対立の深さであり、それが容易には解消されないという現実です。

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