中国、米三大自動車メーカー向けにレアアース輸出許可発行 禁輸で揺れるトランプ大統領の関税戦争

ロイター通信が6月7日に報じたところによりますと、中国はアメリカの三大自動車メーカーのレアアース供給業者に対して、一時的な輸出許可証を発行しました。アメリカの三大自動車メーカー(ゼネラルモーターズ、フォード、ステランティス)の供給業者は、部分的なレアアース輸出許可を取得しています。

ロイターは2人の関係者の話として、少なくとも一部の許可証の有効期間は6か月であると伝えています。今回承認されたレアアースの輸出量や具体的な製品の種類は不明であり、この動きが中国によるレアアース輸出許可手続きの簡素化を意味するかどうかも明らかではありません。

このニュースは、6月5日夜に行われたトランプ米大統領と習近平中国国家主席の電話会談が実質的な進展を遂げたことを裏付けています。すなわち、中国がレアアース供給の再開に同意したということです。

今年4月以降、中国はサマリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ガドリニウムなど7種類の中・重希土類元素およびその高性能磁石に対して厳格な輸出規制を実施してきました。この措置は自動車、モーター、航空、半導体、防衛のサプライチェーンに急速に影響を及ぼし、アメリカの電気自動車業界が特に大きな打撃を受けています。データによれば、中国は世界のレアアースの約90%を生産しており、アメリカの自動車業界は中国からのレアアース供給に非常に依存しているため、レアアースがなければアメリカの自動車産業が2か月も持つかどうかは疑わしい状況です。例えば、フォードは5月にレアアース不足のため、シカゴ工場で「エクスプローラーSUV」の生産を1週間停止せざるを得ませんでした。

分析によれば、実際には5月12日に中国とアメリカはスイスで「停戦協定」を結んでおり、最も重要な条項は、アメリカが大幅に関税を引き下げる代わりに中国がレアアース供給を再開するというものでした。しかし中国は実際には約束を履行せず、許認可手続きの遅延を理由に供給を引き延ばしていました。今回のトランプ大統領の電話の後、ようやく中国はアメリカへのレアアース供給を再開したのです。

では、電話会談でトランプ大統領は何を譲歩し、中国からレアアース供給の本当の約束を得たのでしょうか。ブルームバーグがその真相を報じています。6月6日の報道によりますと、トランプ大統領はロシアへの戦争支援に関して中国への非難を控えているということです。この報道はアメリカの世論の関心に応えたものです。まもなくカナダで開催される西側G7首脳会議に向けて、この3年間、毎年G7首脳宣言にはロシア・ウクライナ戦争における中国政府のロシア支持を非難する文言が入っていました。しかし今年は初めて、アメリカが中国のウクライナ戦争に関する立場を非難することに同意しませんでした。トランプ大統領の立場は中国よりもさらにロシア寄りであるためです。ブルームバーグは、中国がレアアース供給を再開したのは、アメリカ政府がウクライナ戦争問題に関する約束を得て、西側G7首脳会議の声明で中国を見逃すことを条件にしたからだと見ています。

トランプ大統領は自分の実力を過大評価しすぎて、米国も他国からの制裁を受ける可能性があることを軽視しており、中国のレアアース禁輸によって少し動揺してしまったようです。

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