Byton創業者のBreitfeld氏、一汽の過剰な関与が辞職の原因だと暴露
米科学技術メディア「The Verge」はこのほど、元EVベンチャー企業Bytonの創業者で最高経営責任者のCarsten Breitfeld氏が、FFロサンゼルスの本社で開催したメディアイベントで、戦略的投資家である一汽の過剰な関与により辞職に追い込まれたことを暴露したと報じた。
かつてのBMW i8の生みの父だったBreitfeld氏は、BMWを辞めた後、数奇な起業の道を歩んできた。2016年には、当時テンセントとフォックスコンが投資した自動車ベンチャーのFMC社に、Breitfeld氏は、同じくBMWで働いていたDaniel Kirchert氏とともに加入した。しかし、さまざまな理由でテンセントとフォックスコンは相次いで資金を引き揚げており、やむを得ず、Breitfeld氏は「自腹で」FMCへの出資を開始し、社名をByton(拝騰汽車)に変更した。
Carsten Breitfeld氏
その後も資金調達を続ける中で、一汽が差し出した「オリーブの枝」(注)をBytonが引き受ける形になった。 2018年6月、同社はBラウンド融資を完了し、融資規模は5億米ドルに達し、うち一汽集団が2億6500万米ドルを出資する。
今回の融資により、Byton側は、一汽との研究開発、生産、サプライチェーン面での提携を通して、自社の発展に拍車をかけると評価した。
しかし、意外なことに、業界内では、ついに「業界大手と手を繋いだ」Bytonが、突然中心メンバーを失ってしまった。今年4月、Breitfeld氏は突然、自分の手で作った会社を離れ、別の中国EVベンチャーIconiq(艾康尼克)に加入することを選んだ。そしてわずか4ヶ月後、Breitfeld氏は財政難に陥ったもう一つの中国系EVベンチャーFaraday Future(以下FF)に加わり、マイナスイメージを抱えたこのベンチャー企業のCEOに就任し、元創業者の賈躍亭氏の最新パートナーとなった。
Breitfeld氏がメディアに語ったところでは、一汽集団のような国有自動車メーカーから投資を受けることが何を意味するのかを「十分に認識していなかった」という。同氏はまた、一汽は自身の職責を剥奪したと明らかにした。
「一汽がBytonに与える影響とコントロールは、Bytonをその発展にそぐわない方向に押し出している」と述べた。同社によると、今年初めに株式投資を発表した後、一汽はBytonの株式の約15%を保有しているほか、数億米ドルの融資を提供した代わりに、Bytonの中国での生産施設とその他の資産を担保にしている。
「彼らは実はByton自身の発展を気にせず、Bytonの工場や電気自動車のプラットフォームをもっとコントロールしたいというのが私の感覚だ」。
いまBytonのすべての支出は一汽による審査、承認が必要となり、Bytonの技術者の多くがすでに退職しているという。「技術者はみんな離れてしまい、今この会社を管理しているのは広報やマーケティング関係者のみ」とBreitfeld氏が指摘した。
これに対し、Byton側は9月25日、「Bytonの独立運営権をめぐる最近の外国メディア報道に関する説明」を発表し、関連する外国メディアの報道で言及されている「一汽集団のBytonへの関与とコントロール」には根拠がないと指摘したうえ、報道の中のBreitfeld氏の言説は事実ではなく、ミスリード的な表現であり、Bytonはその言説に失望していると表明した。
また9月25日同日、Breitfeld氏は「新浪微博」(Weibo)を通じ、報道は米国メディアの「断章取義」(何かの文を引用する際に、その一部だけを取り出して自分の都合のいいように解釈すること)によるもので、一汽の支持と貢献に感謝するとのコメントを中国語と英語で投稿した。
(注)英語に”offer an olive branch”(オリーブの枝を差し出す)という表現があり、一方が好意的な態度や言葉でアプローチすることを意味している。
参考記事:https://www.d1ev.com/news/qiye/99795、https://www.d1ev.com/news/qiye/99872