美団 vs DiDi､「アグリゲート型エコロジー」で対抗（2）
DiDi
DiDiは、フードデリバリー､さらにはホテル業務を始めており、その狙いは美団と何ら変わらず、完全な生活シーンでのクローズドループのエコロジーチェーンを構築することにある。ただ、米団のアプローチはモノからヒトへ、DiDiのアプローチはヒトからモトへ､という点では両者が違っている。
昨年4月、DiDiのフードデリバリーが正式に（江蘇省）無錫市場に参入し、これを契機として、「お金を溝に捨てるような」インセンティブ合戦が始まった。一時、平均して無錫市民100人当たりに毎日1元のフードデリバリーを注文しているような盛況ぶりだった。
しかし、このような乱暴な拡張路線は、明らかにDiDiの目標を達成しておらず、フードデリバリー計画は下半期から鈍化し、6都市目の（山東省）済南に進出した矢先に、DiDiのデリバリー計画はぴたりと止まった。今年2月になると、DiDiのフードデリバリー事業は､リストラが始まり、国内事業が停止するか、閉鎖の運命に立たされているとの情報もある。
DiDiのフードデリバリー事業は停止に追い込まれているが、まさに同時期に、DiDiはホテル事業を開始した。昨年7月、DiDiはオンライン旅行および周辺サービス事業者のBooking Holdingsと戦略的提携関係を結び、Bookingから5億ドルの戦略的投資を獲得したと発表した。
9月3日、インド·タイムズ紙によると、DiDiはインドのホテルチェーンブランド「OYOホテル」に投資するが、DiDiが投資したのは完全子会社「OYO中国」だった。
DiDiは今年8月、ワンダ・ホテル&リゾートと共同で、DiDi「礼橙専用車」と「高級車」がワンダグループと共同で、会員権益の相互共有で提携し、ワンストップ式の「モビリティ+」プラットフォームを構築し、今後、更に多くのシーンに接続すると発表した。
事実、フードデリバリービジネスであれ、ホテルと連動するビジネスであれ、一括してDiDiのモビリティプラットフォームに集積されているのであって、つまり、この2つのレベルでいえば、DiDiはもはや単一のネット配車プラットフォームではなく、配車＋レストラン＋ホテルの総合サービス型プラットフォームにアグリゲートされているのだ。
DiDiの程維CEOは、DiDiが外食のような生活サービス関連のシーンで新たなビジネスの模索をするかとの質問に、「すべては可能であり、何よりもユーザーにとって価値のあることをすることがカギになる」と語った。
これにより、DiDiは新事業の開拓を通して、新たな利益の伸び代を模索しているが、一方では生活と移動の2大ニーズを融合させたオンラインとオフラインのプラットフォームを構築しようとしていることが容易に分かる。
現段階では、米団が比較的うまく行っているようだ。DiDiのフードデリバリーは見送られたが、ホテル関連のビジネスは前に進んでいる。このほか、曹操出行、T3出行など、自動車メーカーが主導して設立したモビリティ事業も、業務計画のなかで、ワンストップ型のサービスプラットフォームを今後の発展方向の一つとしている。
最初の「美滴戦争」は、まだある業務レベルでの対抗に過ぎないのかもしれないが、ある業界のベテラン関係者が言うように、企業が一定の段階まで発展すれば、新たな分野で競争が生まれる可能性があり、現在の京東とアリババのように、両者は電子商取引だけでなく、物流や金融などの分野でも対抗している。
先述したように、「美滴戦争」の構図にも明らかなように、最後までシステム対システム、エコロジー対エコロジーの対戦の様相が見られる。このエコシステムは、生活のシーンと移動のシーンを結びつけて作り上げた一体化エコシステムでもある。
現在では、美団をはじめとする業界横断的なプレーヤーは、クローズドループ型エコロジーチェーンを構築できるようになってきているが、モビリティ分野での経験はまだ不足している。DiDiをはじめとする業界垂直的なプレイヤーは、モビリティには十分な経験と強みがあるものの、消費者の生活シーンでのニーズや、関連する運営、調整などのノウハウの蓄積はそれほど多くなく、そこでDiDiのフードデリバリー事業は、「米団」と「餓了Me」で構成された現在の2大デリバリー巨頭の勢力図を崩すことができなかった。
しかし、長期的な視点から見ると、移動を生活シーンと結びつけることは、モビリティ業界の重要な発展ベクトルの一つとなると同時に､移動と生活を､同じプラットフォームで完結させ、１つのスーパーアプリとして、それを連動させてはじめて、ユーザーを引き留めて、クルーズドループ型のエコロジーチェーンの下での持続的な成長を実現することができる。
（終わり）