中国製新エネルギー車、海外で車載システムを遠隔ロック 30時間以上機能制限

7月16日、中国人男性が中国ブランドの新エネルギー車でカザフスタンに入国したところ、車載システムがメーカーによって30時間以上にわたり遠隔ロックされ、ナビゲーションや給油口の開閉などの機能が使えなくなりました。このため、男性の旅行日程に大きな支障が生じました。
河南省在住の車両所有者である劉さんは、今年の夏休みに子どもを連れて中央アジアを横断し、欧州各国を巡るドライブ旅行を計画していました。7月8日に出発し、新疆ウイグル自治区のコルガス(霍爾果斯)出入国検査場を経由してカザフスタンに入りました。
ところが7月16日朝、ホテルから車で出発しようとしたところ、センターディスプレーに「ロック解除申請」の画面が表示され、車載システムのその他の機能が正常に使えなくなっていることに気付きました。
劉さんによると、ロック後も走行自体は可能でしたが、ナビゲーションや音楽再生、収納ボックスの解錠などのスマート機能が利用できなくなり、給油口も一時的に開けられない状態になりました。収納ボックスには現金や個人関係の書類、身分証明書などを保管していたため、別の方法で対応せざるを得ませんでした。その後、インターネットで緊急時の対処方法を調べ、給油口を開けることができました。
劉さんは直ちに販売店のアフターサービス部門とカスタマーサービスに連絡しました。しかし、海外滞在中で通信環境が十分ではなかったため、主に中国の通信アプリ「微信(WeChat)」を通じて担当者と連絡を取り、ロック解除を申請しました。
解除申請には、税関の通関書類、パスポート、車両購入契約書、購入時の領収書、国際運転免許証、査証(ビザ)などの提出が必要でした。劉さんによると、メーカー側からは、中国国内で購入した車両を許可なく国外で使用したため、車載システムの機能制限が作動したとの説明があり、申請に当たっては、本人が車両の所有者であることを証明する必要があると伝えられました。
劉さんが必要書類を提出した後、車載システムが正常な状態に戻ったのは翌日の昼ごろでした。ロックされていた時間は30時間以上に及びました。
インターネット上では、公開された写真を基に、ロックされた車両は中国・吉利汽車傘下のEVブランド「ZEEKR(ジーカー)」の車両で、価格が50万元(約1,000万円)を超える新エネルギーSUVではないかとの見方が出ています。
劉さんがこの車を購入したのは約半年前です。出発前には河南省内の販売店で点検整備を受け、その際、車で国外に出て欧州へ向かう予定であることをスタッフに伝えていました。しかし、劉さんは、国外に出ると遠隔ロックが作動する可能性があることや、必要書類を事前に準備しておく必要があることについて、スタッフから説明を受けなかったとしています。
7月22日午後、同ブランドのカスタマーサービス担当者はメディアの取材に対し、車両で国外に出た場合、車載システムが遠隔ロックされる可能性があることを認めました。また、事前に届け出てもロックを回避することはできず、車載システムにエラーコードが表示された後でなければ、一時的なロック解除を申請できないと説明しました。
今回の問題は、インターネット上で、車両の所有権とメーカーによる遠隔管理のあり方を巡る議論を改めて呼び起こしました。一部のユーザーはメーカーの対応に不満を示し、「数十万元を支払って購入しても、得られるのは使用権だけで、実際の管理権限はメーカー側に残っている。メーカーが遠隔操作すれば、個人の所有物がたちまち使えなくなる可能性がある」と指摘しました。
また、「解除申請に必要な書類を収納ボックスに入れておき、その収納ボックスまでロックされた場合、申請そのものができなくなる」と皮肉る声も上がりました。
一方、比較的冷静な見方として、新エネルギー車は通信ネットワークへの依存度が高く、今回のロックは、メーカーが無償で提供する基本通信プランが中国国内に限られ、国外では通信料金の仕組みが異なるため、自動的に機能制限が作動した可能性があるとの分析も出ています。この見方を示したユーザーは、車両の転売防止は言い訳にすぎないと主張しています。

写真:インタネット上の公開情報より