Momenta、香港IPOに向けた手続きを完了 上場審査通過で最終段階へ

自動運転技術を手掛けるMomenta(夢騰智駕環球有限公司)はこのほど、香港上場に向けた届出手続きを完了し、6月23日には香港証券取引所で上場審査後資料(PHIP)が公表されました。これにより、同社はIPO(新規株式公開)の最終段階に入りました。共同スポンサーは中国国際金融(CICC)とドイツ銀行が務めます。
Momentaは2016年に設立され、自動運転ソリューションの開発を主力事業としています。創業者兼CEOの曹旭東氏は清華大学出身で、ソニーやマイクロソフト、商湯科技(SenseTime)などでの勤務経験を持ちます。中核メンバーには、共同創業者兼開発責任者を務めた任少卿氏のほか、深層学習分野の研究者である孫剛氏、夏炎氏らが名を連ねています。
Momentaは設立当初から、高度運転支援システム(ADAS)の量産事業とRobotaxi事業を並行して展開する戦略を採用してきました。2019年には、高速道路向け運転支援システム「Mpilot」、自動駐車支援システム、市街地向け運転支援システムに加え、自動運転ソリューション「MSD」を発表しています。
目論見書によると、2026年6月時点でMomentaのシステムを搭載した量産車の累計台数は90万台を超えています。累計量産モデル数は100車種以上、採用が決定したモデル数は累計210車種を超えています。
自動車メーカーとの協業では、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、トヨタ、本田技研工業(ホンダ)、ゼネラルモーターズ(GM)、上海汽車集団(SAIC)、BYDなどと提携しています。また、Robotaxiおよびモビリティサービス分野では、Uber、Grab、Lumo、享道出行などのプラットフォームとも協力関係を構築しています。
なかでも、Momentaは上海汽車集団およびその高級EVブランドである智己汽車(IM Motors)と比較的深い協業関係を築いています。上海汽車集団はMomentaの株主の一社であり、Momentaも智己汽車の株式を保有しています。智己汽車は、Momentaの自動運転技術の量産展開における重要なパートナーの一つとなっています。
市場シェアについては、複数の調査機関のデータから、Momentaが中国の都市部NOA(Navigate on Autopilot)市場における主要プレーヤーの一社であることがうかがえます。
中国汽車工業協会(CAAM)が公表した「2025年都市NOA運転支援研究報告」によると、2025年1~11月の中国都市NOA市場におけるシェアは、ファーウェイ(Huawei)の「乾崑智駕」が27.9%で首位、Momentaは13.3%で2位となりました。第三者サプライヤーのみに限定した場合、Momentaのシェアは約61%に達しています。
また、投資・資金調達コンサルティング会社であるCIC灼識諮詢(China Insights Consultancy)の調査によると、2025年3月から2026年2月までの期間において、Momentaの第三者自動運転サプライヤー市場におけるシェアは65%となりました。さらに別の調査では、2026年4月時点でファーウェイ(「5つの界」ブランドを含む)とMomentaの合計シェアが、中国の都市NOA市場の72.8%を占めたとされています。
技術面では、Momentaは2026年4月に強化学習ベースのワールドモデル「R7」を発表しました。初採用モデルは上汽フォルクスワーゲン(SAIC Volkswagen)の「ID. ERA 9X」で、第3四半期中にOTA(無線アップデート)による機能提供が予定されています。
業績面では、売上高が近年着実に拡大しています。2023年から2025年までの売上高は、それぞれ7億4300万元、16億9600万元、24億1300万元でした。
2025年の売上構成を見ると、技術開発サービスによる売上高は14億4500万元で全体の59.9%を占め、ライセンスサービスによる売上高は9億6800万元で40.1%を占めました。
ライセンスサービスによる収入は、2023年の2300万元から2025年には9億6800万元へと大幅に拡大しています。
一方で、同社は現時点で黒字化には至っていません。調整後純損失は2023年が10億9300万元、2024年が9億5900万元、2025年が3億元となっています。
2025年末時点の現金および現金同等物は100億元を超えています。
資金調達面では、Momentaは設立以来、複数回にわたる資金調達を実施してきました。公開資料によると、累計調達額は12億6000万ドルを超えています。出資者には、上海汽車集団、メルセデス・ベンツ、テンセント、阿里雲(Alibaba Cloud)、アントグループ、京東(JD.com)、順為資本、蔚来資本(NIO Capital)、テマセク、IDGキャピタル、雲鋒基金、藍湖資本、真格基金などの事業会社および投資ファンドが含まれています。
市場関係者によると、Momentaは約10億ドルの資金調達を計画しており、企業価値は約90億ドル(約650億元)と見込まれています。ただし、最終的な調達額および企業価値は、IPOの価格決定後に確定する見通しです。
香港市場への上場が実現すれば、Momentaは近年の自動運転業界において公開市場へ進出する代表的な企業の一社となります。今後の業績や株式市場での評価が注目されます。