中国の自動車残価率が大幅低下 価格競争でガソリン車とNEVの格差縮小

 7月2日、中国汽車流通協会(CADA)と中古車データ評価サービスプラットフォーム「精真估」は共同で、「2026年6月中国自動車残価率研究報告」を発表しました。同報告によると、2026年上半期における3年後の平均残価率は、ガソリン車が46.07%、新エネルギー車(NEV)が44.8%となり、その差は約1ポイントまで縮小しました。

 過去のデータと比較すると、ガソリン車の3年後残価率は2022年の67.6%から大幅に低下し、新エネルギー車も2023年の54.7%から44.8%へ下落しています。中国の自動車市場全体で残価率の低下傾向が続いていることが、改めて浮き彫りとなりました。

 残価率低下の最大の要因は、新車市場における価格競争の激化です。2026年1~5月には全国で82車種がメーカー希望小売価格を引き下げました。平均値下げ率はガソリン車が14.6%、新エネルギー車が12.5%に達しています。新車価格の引き下げが相次いだことで中古車価格も押し下げられ、一部地域では新車の実勢販売価格が登録済み未使用車や低走行中古車の買取価格を下回る「価格逆転」も発生しています。このため、中古車販売事業者は仕入れに慎重な姿勢を強め、在庫回転期間も長期化しています。

 CADAの羅磊副会長は、現在の業界が直面する最大の課題は価格体系の再構築にあると指摘しています。在庫車両の価値下落が続いていることで、中古車販売の利益率が圧迫されるだけでなく、販売店の経営にも大きな負担となっています。

 これまで「新エネルギー車はリセールバリューが低い」という見方が一般的でした。しかし、最新データではガソリン車との差は縮小しており、一律に評価できる状況ではなくなっています。一方で、車種や市場セグメントによって残価率には依然として大きな差が見られます。

 購入後1~3年程度で乗り換えを予定しているユーザーにとっては、高価格帯の新エネルギー車が高い残価率を示しています。例えば、AITO(問界)M9は、BEVモデルの1年後残価率が80.41%、レンジエクステンダー(EREV)モデルが82.92%となりました。このほか、Li Auto MEGAやZEEKR 009なども上位に入り、高価格帯の新エネルギー車では1年後残価率が80%を超えるモデルが多く、同価格帯の高級ガソリン車を上回るケースも見られます。

 一方、3年以上保有する場合は、ガソリン車が依然として一定の優位性を維持しています。特に日本メーカーのコンパクトカーや、中国メーカー製の本格オフロードSUVでは高い残価率が維持されています。その一方で、エントリークラスのEVや知名度の低い新興ブランド、モデルチェンジのサイクルが早い車種では、3年後残価率が40%を下回るケースも多く、価値の下落がより顕著となっています。

 業界関係者は、新エネルギー車の残価率はもはやパワートレインだけで決まるものではなく、ブランドの価格戦略やメーカー認定中古車制度、バッテリーを含む「三電システム」の保証制度などが大きく影響していると分析しています。メーカー直販体制を採用し、価格改定を抑え、認定中古車制度や充実したアフターサービスを整備しているブランドは、頻繁に値下げを行う新興ブランドよりも高い残価率を維持しています。

 また、同報告では、中国地場ブランドの残価率が近年着実に向上してきていることも明らかになりました。3年後残価率ランキングでは、広汽伝祺(GAC Trumpchi)、坦克(TANK)、捷途(JETOUR)が地場ブランドの上位3社となり、その水準は一部の主要合弁ブランドに迫っています。

 車種別では、TANK 300やTANK 500新能源といった中国製の本格オフロードSUVの残価率は、トヨタなどの伝統的なブランドと肩を並べる水準に達しています。また、AITO(問界)、Li Auto(理想)、ZEEKR(極氪)といった高級新エネルギーブランドは、一部の市場ではBMWやアウディなど従来の高級ブランドを上回る残価率を記録しました。ビジネス向けMPV市場では、広汽伝祺M8とビュイックGL8が引き続き高い残価率を維持しています。

 一方、外資系合弁ブランドではブランド間の格差が拡大しています。日本メーカーは引き続き比較的高い残価率を維持している一方、BMWやアウディなどは販売現場での大幅値引きが常態化していることから、3年後残価率はいずれも50%を下回りました。米国ブランドでは、テスラが3年後残価率56.38%で首位となっています。

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