中国、新エネルギー車の信頼性試験を厳格化へ 走行距離を3万kmに倍増、過度な新車投入を抑制へ

7月13日、中国自動車標準化技術委員会は、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車に関する3つの推奨国家標準について、第1号改正案を公表し、意見募集を開始しました。意見の提出期限は2026年8月12日です。
中国工業情報化部は2026年1月21日、2026年第1号公告を公布し、「道路走行車両生産企業参入審査要件」と「道路走行車両製品参入審査要件」を改正しました。今回の改正では、自動車製品の信頼性試験に関する要件が追加され、従来型の乗用車、バス、トラックについて、3万km以上の信頼性検証試験を実施することが明記されました。新たな要件は2027年1月1日から施行されます。
今回公表された3つの推奨国家標準に関する改正案は、工業情報化部の審査要件に対応したものです。改正対象となるのは、GB/T 18388—2005「電気自動車型式認定試験規程」、GB/T 19750—2005「ハイブリッド車型式認定試験規程」、GB/T 39132—2020「燃料電池車型式認定試験規程」の3規格です。
意見募集案によると、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車はいずれも、信頼性走行試験の総走行距離が3万km以上に引き上げられ、従来型のガソリン車と同水準になります。
信頼性走行試験とは、新型車の型式認定や市場参入審査において実施される完成車の耐久性試験です。型式認定や市場参入の可否を判断する際の基準の一つに位置付けられています。通常は、一般道、高速道路、市街地道路、試験場内の耐久試験路など、さまざまな道路や走行条件を組み合わせて実施します。段差や振動、頻繁な加減速、充放電の繰り返しなどを通じて、長期使用によって生じる可能性のある不具合をできる限り顕在化させることが目的です。
現行のGB/T 18388—2005「電気自動車型式認定試験規程」は、2005年に公表されました。同規格では、電気自動車の信頼性走行試験の総走行距離を、対応するガソリン車の型式認定試験規程で定められた距離の50%としています。また、算出した距離が5,000kmに満たない場合は、5,000kmとすることも定めています。ガソリン車の信頼性検証試験が3万km以上であることを前提にすると、電気自動車の試験走行距離は1万5,000kmとなります。
こうした違いは、同規格が制定された当時の産業状況と関係しています。2005年当時、中国の電気自動車産業はまだ発展の初期段階にあり、市場規模も小さく、駆動用バッテリーの航続性能や充電環境、完成車の技術水準も現在ほど成熟していませんでした。ガソリン車と同じ走行距離を求めれば、試験期間や充電時間が長期化し、試験コストも大幅に増加する状況にありました。
このため、当時はガソリン車の50%という、実質的にガソリン車よりも低い技術基準が採用されました。しかし、新エネルギー車の技術水準や市場規模が大きく変化するなか、20年以上前に設けられたこの規定は、明らかに実情に合わなくなっています。
電気自動車にとって、最も分かりやすい変更点は試験走行距離です。従来の1万5,000kmを基準にすると、新たな試験走行距離は2倍になります。
改正案ではこのほか、直流充電を利用して走行する試験距離を、累計走行距離の90%以上とすることも盛り込まれました。総走行距離が3万kmの場合、少なくとも2万7,000kmを直流充電による走行条件で実施することになります。直流充電に対応していない車両については、交流充電を利用できます。

この規定は、単に車両が3万kmを走行できるかを確認するだけでなく、駆動用バッテリー、充電ポート、充電制御、熱管理、高電圧システムについて、実際の充電と走行を何度も繰り返した際の信頼性も検証することを意味します。一般に、直流急速充電は交流充電よりも出力と発熱量が大きいため、バッテリーの熱管理、充電制御、高電圧部品を繰り返し使用した際の問題が表面化しやすくなります。
プラグインハイブリッド車については、完成車として3万kmの信頼性走行試験を実施することに加え、EV走行による信頼性試験も1万km以上実施しなければなりません。これは、試験の大半をエンジン走行で消化し、バッテリー、モーター、電子制御システムの検証が不十分になることを防ぐためです。
また、ハイブリッド車の安全要件は、GB 18384「電気自動車安全要件」と整合させる方針です。駆動用バッテリーの発火・爆発防止、車体底部の保護、物理的な電源遮断などが要件に含まれます。
現在、1万5,000kmの基準に基づいて電気自動車の信頼性試験を実施している企業にとって、試験走行距離が3万kmに延長されれば、より多くの試験車両やドライバー、試験設備、試験場所を確保する必要があります。
新型車の開発から市場投入までの期間も長期化する可能性があります。試験中に問題が見つかった場合、自動車メーカーは原因を分析し、設計変更や部品交換を行ったうえで、改めて検証しなければなりません。このため、新型車の発売時期にも影響が及ぶ可能性があります。短期間で開発・投入される、いわゆる「即席車」を一定程度抑制する効果も見込まれます。
信頼性試験の要件強化によって長期使用時の故障が減り、バッテリーや完成車の耐久性に対する消費者の信頼が高まれば、中古車の残存価値を下支えする可能性もあります。
一方、研究開発資金が限られ、新型車を短期間で相次いで投入する事業モデルに依存している自動車メーカーほど、追加の試験コストと時間的な負担が重くなります。そのため、今回の規格改正は、新エネルギー車業界への参入や車両開発に必要なコストを間接的に引き上げ、こうしたメーカーの淘汰を早める可能性があります。