米国防総省、「中国軍事企業」リストを再公表――アリババ、百度、BYDも対象に

現地時間6月8日、米国防総省は、2021会計年度国防権限法(NDAA)第1260H条に基づく「中国軍事企業リスト(Chinese Military Companies List)」を更新し、アリババ、百度(Baidu)、BYDなどの中国を代表する企業を対象に含めました。これを受け、市場や産業界で大きな関心が集まっています。

国防総省が公表した資料によると、今回の更新では、中国企業グループ80社と関連企業・組織約188件が対象となりました。追加された企業は、人工知能(AI)、新エネルギー車(NEV)、車載電池、バイオ医薬品、太陽光発電、ロボット、半導体メモリーなど幅広い分野に及びます。

アリババ、百度、BYDのほか、騰訊(Tencent)、薬明康徳(WuXi AppTec)、蔚来汽車(NIO)、京東方科技集団(BOE)、長江存儲(YMTC)、長鑫存儲(CXMT)、RoboSense(速騰聚創)、Unitree Robotics(宇樹科技)などもリストに含まれています。以前、一時的にリストから除外されていた長江存儲と長鑫存儲も、今回再び掲載されました。国防総省は、更新後の完全版リストを6月10日に米連邦官報(Federal Register)へ正式掲載するとしています。

実際のところ、米国防総省は毎年、中国軍との関係があると判断した企業リストを見直しています。今回のリストは前年よりも対象範囲が拡大しており、中国が民間部門を活用して軍事技術の開発・高度化を進めているとの米国家安全保障当局の認識を反映したものとみられています。

今回のリストには、中国の消費関連企業やテクノロジー企業も数多く含まれています。BYDのほか、製薬大手の薬明康徳や人型ロボット開発企業のUnitree Roboticsも対象となりました。

これに対し、アリババ、百度、BYD、薬明康徳などは相次いで声明を発表し、自社はリストに掲載されるべきではないとの立場を表明しました。また、リストからの除外を求めて対応策を検討していることも明らかにしています。

今回のリストは、従来の軍需関連企業中心の枠組みから、民間の中核テクノロジー企業へと対象が大きく拡大した点が特徴です。その性格上、直接的な経済制裁ではなく、資産凍結や米国内での事業活動を直ちに禁止するものではありません。しかし、その波及効果や中長期的な影響は極めて大きいとみられています。

まず、米国防権限法の新たな規定により、2026年6月以降、米国防総省はリスト掲載企業との直接契約や調達を行うことができなくなります。さらに2027年には規制が強化され、第三者のサプライヤーを通じた調達も禁止される予定です。これにより、中国企業は米政府および巨大な国防サプライチェーン市場から事実上排除されることになります。

第二に、市場での信用や資本市場において、「ソフト制裁」とも言える影響が生じる可能性があります。このリストは、米国の金融機関や多国籍テクノロジー企業、さらには米国株式市場全体に対し、強い政治的メッセージを発するものだからです。中国企業の米国上場廃止を求める米議会内の声も、こうした動きを背景にさらに強まる可能性があります。国防総省による措置自体は政府調達の制限にとどまりますが、議会による問題提起が資本市場に一定の圧力を与えることは避けられません。

第三に、この動きは米国防総省における国家安全保障概念の変化を反映しているとも言えます。米国側は現在、AI、ビッグデータ、自動運転、人型ロボット、バイオテクノロジーといった新興分野において、中国の軍民融合は不可避であるとの見方を強めています。つまり米国は、中国の民間企業が政府によるデータや技術の活用要請を拒否することはできず、結果的に軍との協力関係にあるとみなしているのです。

最後に、米国防総省は今年2月にも同様のリストを公表しましたが、2月末に突然撤回しました。ただし、これは中国企業への圧力を取り下げたことを意味するわけではありません。当時はトランプ大統領による3月の訪中が予定されていたため、その直前に制裁色の強いリストを公表すれば訪中ムードに影響を与えかねないとの配慮があったとされています。

そして、トランプ大統領の訪中終了後、米国防総省は今回、改めて同リストを公表しました。

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